ゼロの焦点

能登金剛を舞台に繰り広げられた松本清張のサスペンス

 

昭和33年3月号から35年1月まで『宝石』に連載し、昭和34年に光文社から刊行された。

松本清張は「ゼロの焦点」を代表作と言う。

 

松本清張 明治42年12月21日〜平成4年8月4日82歳

 “せいちょう”はペンネーム、本名は、“きよはる”

 

福岡県企救郡板櫃村(現在の北九州市小倉北区)出身とされるが、広島県で生まれ、幼児期は山口県下関市で育ち、小倉に定住したのは小学校5年生、10歳から。

 

生家が貧しかったために高等小学校卒業後、給仕、版工などの職につく。昭和25年、朝日新聞社勤務中に書いた処女作「西郷札」が『週刊朝日』の「百万人の小説」に入選し、昭和28年に「或る『小倉日記』伝」が第28回芥川賞を受賞。以後作家活動に専念する。

 

昭和33年に発表した推理小説『点と線』『眼の壁』の2長編はベストセラーとなる。犯罪の動機を重視した「社会派推理小説」とよばれる作品は「清張ブーム」を引き起こした。 

 

 

昭和36年(1961)に松竹で映画化された。 95分

 [監督]野村芳太郎

 [原作]松本清張

 [脚本]橋本忍、山田洋次

 [撮影]川又昂

 [音楽]芥川也寸志

 [出演]久我美子、高千穂ひづる、有馬稲子、南原宏治、西村晃、加藤嘉ほか 

 

 

 

しかし、ごらん、空の乱れ

波が――さざめいている。

さながら塔がわずかに沈んで、

どんよりとした潮を押しやったかのよう――

あたかも塔の頂が膜のような空に

かすかに裂け目をつくったかのよう。

いまや波は赤く光る・・・・

時間は微かにひくく息づいている――

この世のものとは思われむ呻吟のなかに。

 

海沿いの墓のなか

海ぎわの墓のなか――

 

「ゼロの焦点」を象徴する上記の詩のとおり最後は

「荒海の沖の黒い一点はいよいよ小さくなって行った。」

 

 

松本清張の生誕100年を記念して東宝系で

2月に犬童一心監督が再び映画化を予定している。

 

 キャストが、9日(月)発表された。失踪した夫の行方を求めて金沢へ旅立つ新妻・鵜原禎子役には広末涼子。

 撮影は4月まで続き、夏に完成予定。

    

  室田社長役        地元名士の社長夫人

金沢出身の鹿賀丈志   室田佐知子役に中谷美紀

 

 

能登金剛に建立された松本清張の碑

 

雲たれて ひとりたけれる 荒波を 

かなしと思へり 能登の初詠

「ゼロの焦点」に出てくる志賀町

 

?の所もあるが、実在する地名を使っているのに驚かされる。

 

能登高浜駅  禎子が能登線で訪れる。

高浜警察分署 禎子が夫の消息を尋ねる。

赤住(巌門?) 禎子が断崖の上に立つ。

高浜町字末吉 曾根の内縁の妻 田沼久子の本籍

高浜町役場   禎子が田沼久子の戸籍を尋ねる。

牛山(牛下?)の能登金剛 曽根益三郎が投身

福浦港    禎子が七尾から断崖に行く途中で寄る。

最後の場面(断崖) 福浦港から高浜に向かう途中?

 

 断崖が能登金剛の巌門だとすると、福浦から南に向かう高浜方向ではなく、北に向かう方向である。

 なお、昭和36年の映画では、巌門より更に北にある「ヤセの断崖」で撮影された。

 

 

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