平成20年9月3日に熊本大学教育学部付属教育センターの吉田道雄教授より,安全文化に関する講演をお聞きした。
知識を意識にし行動することが大切。それも集団で取り組むべき。という教えに学ぶところが多かった。
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講師プロフィール 1948年福岡県生まれ 1971年九州大学教育学部卒業 1976年九州大学大学院教育学研究科博士課程卒業 1976年九州大学教育学部助手 1978年鹿児島女子短期大学講師 1979年熊本大学教育学部講師 1983年熊本大学教育学部助教授 1996年西オーストラリア大学客員教授 現在 熊本大学教育学部教授 博士 (財)集団力学研究所副所長 熊本市社会教育委員 |
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著書 組織の安全と集団的視点 労働安全衛生広報 組織の安全と人間 産業訓練 組織と人間の安全 電気評論 人間理解のグループダイナミックス ナカニシヤ リーダーシップと安全の科学 ナカニシヤ 人生をよりよく生きるノウハウ探し 熊本日々新聞社
ホームページ http://www.educ.kumamoto-u.ac.jp/~yoshida/
組織の安全管理と人間理解 -グループダイナミックスから見た安全− http://www.educ.kumamoto-u.ac.jp/~yoshida/eye076.pdf
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内容
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グループダイナミックスと組織の安全 九州のバス会社で安全に関する講習会を実施。一人で参加した人は若干の効果があったが、グループで参加した人たちには絶大な効果が見られた。 「お、やっとるか」とお互いに声を掛け合って、知識を意識に高め、行動を継続することが大切。
《私も前の会社で次の経験をした。 一般向けの営業を拡大するために、地獄の特訓として有名な研修機関に社員を派遣したところ、朝の挨拶や体操からして見違える姿になった。しかし、それも一週間以内に元に戻ってしまった。周りが元のままなので長続きしないのだ。 これではだめだと判断して第二段を送り込んだ。帰ってきてから最初の経験者と一緒に元気な声を出してくれる。でも、守ったのは二週間くらいだったかなー。 しょうがないので、繰り返し派遣したところ、ようやく継続するようになった。 どんな活動も職場全員の取り組みとしなければ長続きしないものだと思う。》
組織安全のキーワード PHS P Peace 平和 H Happiness 幸せ H Health 健康 S Safety 安全 S Smile 笑顔
リーダーシップと安全 リーダーがP(目標達成行動)とM(集団維持行動)を明確に実践してこそ、Morale(士気、意欲、満足度)が上がり、Moral(倫理観、道徳意識)も向上し、事故が減少する。
ハードと人間のミスマッチ 新幹線は踏切事故がない。踏切がないから。 同じようにハードだけで対策できることはほとんどない。 取組み一人一人が仕事の意味づけを理解し、責任と誇りを持って取り組むことが大切。
No blame culture 問題点を報告したら叱るのではなく誉める。(何でも言える文化を醸成)
組織を脅かす悪魔の法則 第一の悪魔 慣れ 注意力が低下 第二の悪魔 経験の誤った評価 今まで捕まっていないからこれからも大丈夫 第三の悪魔 記憶と忘却 レアケースがいつの間にかよくある事に 第四の悪魔 マニュアル違反でも事故らない だから無視しても大丈夫 第五の悪魔 マニュアルを守っても事故る 守ってもしょうがない
仕事と小集団活動 忙しい仕事に小集団活動を付加すると空回りの歯車になる。 忙しい仕事の中に小集団活動を取り込むと、仕事を回す小さな歯車になる。
MPシステムのすすめ 職場内を回遊する担当(Migratory Person)を決めて、他の職場を歩き回らせ、疑問に思ったり感動したことなどを中心に対話を進めていく。 相互理解が深まって風通しがよくなるとともに、外からの目で違った改善が進む。
仕事に誇りを 癌で絶対に死なない方法は、癌になる前に死んでしまうことだ。 ミスや事故を根絶する方法は、仕事をしないことだ。 これは、ありえない。 ミスや事故の可能性を持ち続ける仕事は、かけがえのない仕事をしている証であり、誇りを持って取り組み続けたい。
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